インバウンドの落とし穴?!日本人による外国人への差別

「日本で外国人差別?!そんなの、ほとんどないんじゃないの?」
と驚かれる方も多いかと思います。

確かに日本ではごく一部に過激な外国人排斥運動をしている人たちもいますが、社会全体としては外国人や有色人種などへの露骨な差別は無いように思えます。

ましてやインバウンドに携わる人たちは、外国人観光客を大切なお客様とみなしていても、差別なんてありえない!とお考えなのではないでしょうか?

しかし、差別とは暴力をふるったり、悪口を言ったりすることだけではありません。

もう積極的にインバウンドに取り組んでいる方でも、これから取り組まれる方でも、よくお持ちの意識の落とし穴に
「相手は外国人なんだから、日本人と違うサービスをしよう」
というものがあります。

「そんなの当たり前じゃない!日本人と外国人は違うんだから、違うサービスをすべきなんじゃないの?」
と思いますか?

もちろん、日本人と外国人は言語の違いなど、違う部分があります。当然、外国語対応などの「日本人とは違う」サービスが必要な場合もあります。

しかし、本当に全部が全部「日本人と外国人は違う」のでしょうか?

「相手は外国人なんだから、そのままの和食は口に合わないだろう。もっと洋風の味付けをしよう」
「向こうは外国人だから、布団は嫌だろう。外国人客の部屋は前もってベッドに入れ替えておこう」

このような「心遣い」を、悪気なく行っている旅館や飲食店があります。でも、わざわざ「外国人だから」ということでこのような対応をするのはちょっとおかしい気もしますね。日本人だって和食より洋食が好きな人や、布団よりベッドが好きな人がいます。

それなのにわざわざ和食のお店や、ベッドでない布団の旅館を選ぶ人は、それが好きだからそのお店や旅館に来ているはずですよね?
海外のお客様もそうなのではないでしょうか?

あなたが海外旅行にいったとします。
海外旅行の楽しみは、現地の食べ物を楽しんだり、外国の文化や生活に触れ、その空気を味わうことですね。
少々なじみのない味付けの料理でも、言葉や文化の違いで不便をしたとしても、それがまた海外旅行の楽しみであるはずです。

それを、せっかく現地の味を楽しもうとして入ったレストランで「あなたは日本人だから、和風になるよう味付けを変えてみましたよ」と言われたらどんな気持でしょうか?
雰囲気を味わおうと一生懸命探して予約した古城ホテルのベッドが布団に変えられていたらどう思うでしょうか?

実は、海外では例え善意で行ったことだとしても「外国人だから」という理由でみだりに対応を変えることは差別とみなされています。
行きすぎた「外国人対応」は、せっかく日本を体験しようと来て頂いたお客様をがっかりさせるだけでなく、深刻な差別問題を引き起こしかねません。

それに「外国人」と言っても、日本への知識や興味の程度は非常にさまざまです。決して「外国人だから」とひとくくりにできるようなものではありません。

ベッドのホテルも、布団の旅館も、色んな選択肢があっていいと思います。お客様がわざわざベッドではなく、お布団を選んで下さった意志を尊重したいですね。

もちろん、お客様の誤解が無いよう「うちのお宿はお布団です」と事前にお知らせしておくことが非常に大切です。
そうすれば「ベッドがないじゃないか!」とお客様が怒ることもなくなりますし、また「せっかく日本に行くのだから布団で寝てみたい!」と思うお客様を呼び寄せることにもなります。

ぜひ、きちんと自店を紹介する海外向けWebサイトを作り、お互いに気持よく過ごせるよう準備をしてくださいね。

この記事の執筆者: 松岡 梨沙

合同会社ジャパンライブデザイン 代表取締役 / 日本事業戦略総合研究所 研究員 2000年よりWebマーケティング業界に携わり、3つのベンチャー企業のスタートアップに参画。その経験を生かし、日本の優れたものづくり企業や地場産業の支援を行うため合同会社ジャパンライブデザインを創業する。 日本の文化、流行、優れた製品情報等を広く海外に伝える英語Webマガジン「Ginkgo Telegraph」を運営。世界30ヶ国で広く愛読されている。 Google

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